PIT STOP

グランツーリスモのエンジンサウンドについて(第2回)
Posted by | June 18, 2014

クルマの吸気音・排気音は、いつも全開全負荷(全開加速中)のパワーバンドでいい音が鳴る。(最近は、全開全負荷の手前の、日常的に使える部分負荷のときに良い音が出るようにチューニングしているクルマもある。典型例はレクサス LFAとか、フェラーリ 458など)
クルマが加速中で負荷がかかり、スロットルが全開になってエンジンのパワーバンドに乗る。エンジンの「風通し」が一番いいとき、エンジンが「吹けた」ときに、一番いい音が出る・・・というのはクルマ乗りならば、みんな知っている。

で、なんとかそういう状態の音を録りたい、という思いはあったのだが、実は結構難しい。
エンジン音のサンプリングというのは、ある程度の長い時間(最低でも1秒間)、周波数(ピッチ)の変化を一定にしたサンプルを録らないと、きれいにループする音素材が得られない。ピッチ変化してしまうと、そこからピッチ一定の定常音を復元するのが難しい。
単にストレートを全開加速していく(つまり、車速、エンジン回転数の伸びと一緒にエンジン音のピッチがどんどん上がって行く)クルマの音をレコーディングして、あとから加速中のピッチ変化にサウンドツールでピッチ変化を打ち消すカウンターを当ててピッチ一定に戻してみても、良質なループ音にはならなかった。
では、と緩い上り坂を利用して負荷がかかった状態で高いギアを使い、アクセル全開で加速も減速もしない状態というのもトライしてみたが、まあ簡単なはずがない。
ローラー式のシャシー・ダイナモを使うと、そこそこ負荷のかかった状態でエンジン音を収録できるが、タイヤがコンタクトするローラーの回転音と発生するタイヤの騒音が排気音より大きいような状態で、これも決め手に欠けた。

転機が訪れたのは2003年で、それはGTシリーズにも何台かのクルマが登場している日本を代表するチューナー、アミューズの田名邊秀樹さん(故人)に出会ったことがきっかけだ。
完璧主義の田名邊さんが、精密なエンジン・セッティングのために使用していたシャシー・ダイナモ「ダイノパック」が、エンジン音の収録にぴったりだ、ということがわかったのだ。

(つづく)

 

PIT STOP

Recent Posts

Categories