皆さんは生きているうちにやっておきたいことをリストアップしたことがありますか? 英語圏ではそのリストのことを「バケット・リスト」と呼びます(たしか同名の映画がありましたね)。
もしあなたがクルマやバイク、そしてレースが大好きだったら、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードをそのリストに入れることは、十分に価値があると思います。
昨年もこのブログでその模様をお伝えしましたが、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードには、毎年、象徴となるモニュメント(セントラルフィーチャー)が、たった3日という開催期間だけのために建設されます。そしてこの巨大なモニュメントには、ながく各自動車メーカーの歴史や栄光を象徴するクルマが飾られてきたのです。
我々にとって今年最大の興奮は、そのセントラルフィーチャーにマツダLM55 Vision Gran Turismoのフルスケールモデルが登場したことです。毎年各メーカーの歴史的名車がこのシンボルを飾ってきましたが、ビデオゲームのためだけに作られたコンセプトカーが、そのメーカーを代表するクルマとしてモニュメントに登場するとは誰が想像したでしょうか。天空に向かって先を行くのはル・マン優勝車のマツダ787Bです。
6月25日木曜の夜には、グッドウッドハウスの前でオープニングセレモニーが開催され、マーチ卿とマツダのデザインディレクター前田氏によりスピーチがありました。前田氏はスピーチの中で「私は本物のペトロールヘッドだ!(英俗語で「熱狂的なクルマ好き」の意味)」と自己紹介し、ゲストから笑いと拍手が起きていました。セレモニーの締めくくりは光と音楽と花火でモニュメントを包み込む圧巻の演出。
セレモニーはそれだけではありません。花火が終わりあたりが暗くなったかと思うと、今度は遠くから甲高いロータリーサウンドが聞こえてきました。闇の中からライトを点灯したマツダのレースカー軍団が現れて、グッドウッドハウスの前に続々と集結。ゲストの皆さんは、間髪を入れないこの素晴らしい演出に大興奮。
フェスティバルに集まるクルマは、新しいもの、古いもの、そしてコンセプトカーですら、すべて実際にヒルクライムコースを走行します。コースのストローバリア以外に観客とクルマを遮るものはありません。パドックではエンジン音や匂いまでそのクルマの横に立って感じることができますし、さらにドライバーやライダーもそれぞれが活躍した時間と場所を飛び越えて、年に一度このチチェスターに集うのです。
スターリング・モスがドライブするメルセデスSLR。世界に8台残るうちの7台がグッドウッドに集結。
リビングレジェンド、スターリング・モス氏。
F1パドックから続々とコースインするクルマたち。
遠くにいてもこのマシンが走ると観客が立ち止まって聞き耳を立てます。
ル・マン24時間レースを戦い終えたばかりのトヨタTS040。
インフィニティ ビジョン グランツーリスモを手がけたサイモン・コックス氏と山内さん。
走行を終えて続々と戻ってくるクルマたち。スーパーカーパドックにて。
昨年、ヒルクライムコースでクラストップタイムを叩き出したGTアカデミーのヤン・マーデンボローが運転する日産 ジュークR。
新型MX-5(ロードスター)をドライブする前田氏。
頭上から耳をつんざく轟音が響いたら、アクロバット飛行の始まりです。
会場では毎年いたる所でGTのタイムアタック大会が行われています。
ゲームでプレイしたことのある懐かしいクルマ。世に出たばかりのスーパーマシン。驚いたり喜んだり、モータースポーツファンにとってグッドウッドのパドックは歩みを進めることが本当に難しい。
山内さんはあちこちでサインを求める人に呼び止められてなかなか先に進めません。観客とドライバーが常に同じ場所を歩きまわっているのがグッドウッドのいいところ。
この人はもしかして・・。
ダッチTTのmotoGPクラスで優勝したバレンティーノ・ロッシ選手が、当日夜にグッドウッド入り。マツダ787Bをドライブしました。
グッドウッドサーキットでは、発表されたばかりの新型マツダMX-5(ロードスター)試乗会も行われました。
来年のグッドウッドはどんな演出が行われるのか、そしてどんなモニュメントが登場するのか、今から楽しみですね。